容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

2005年下半期の直木賞受賞作品です。
今日、帰りの電車とか喫茶店とかで読んだわけですが。
無性に感想を書きたくなったので、書きます。
ネタバレはしないつもりですが、読む前に余計な先入観を入れたくない人はこれ以降を読まないで下さい。


一言で言って、とてもおもしろかったんですよ。
このシリーズ1冊目のファンなのですが、実は昨日までその続編が出ていることすら知らなかったのです。
で、さっそくシリーズ2冊目を昨夜読んで、今日3冊目のこの本を読んだわけです。
期待に違わぬハイレベルな作品だと思いました。


…でもですね、引っかかるんです。
この結末に感動して良いのか?って。


この作品の犯人みたいなキャラクタって、とても私好みで、ツボなんです。
ホント、途中ちょっと泣きそうになりましたよ。


でも、ラストで明かされる真相を読んで引っかかったわけです。
犯人の行動に感動するってことは、その行為を許してしまうことになりはしないか?って。
私の倫理観からすると、犯人の行為は許されることではないのです。
その動機や諸々の条件をひっくり返してしまうほど、許しがたい。
そういうものに感動して良いのだろうか…。


犯人のことは好きです。
美しいとも、哀れだとも思います。
それでも。
それをしてはいけなかった…。


それがないと作品が成り立たないだろう、ってのはもちろんその通り。
それによって犯人の行動がより引き立ってもいる。
ただ、作品に導かれるままに感動してしまうには、あまりにも。


ってなことを考えてしまい、とても複雑な読後感を抱いております。